朝
満月がまだ明るい午前4時、ドライバーのコキに叩き起こされて出発。
今回のウユニ湖ツアーは道中道中でドライバーが「こういうのあるけど、どこ行きたい?」とかなりフレキシブルなものだった。が、スペイン語が辛い部分が合ったので、コロンビア人に訳してもらって大体他の搭乗者と話して適当に決めた。で、この何故かグリーンカードも持つコロンビア人がかなりアクティブな豪傑で、前日の晩には4000m以上の砂漠のど真ん中のボロ宿でワイン・ビールを見ず知らずの日本人に振るまい、欧州系ヒッピー風のお兄さんにうるせえと怒られ、朝は朝で一番に出発することとなったのだ。
月明かりの下、ガソリン缶にホースをぶち込んで先端を口に咥え一気にガソリンを吸い上げる超寡黙なボリビア人・コキ。超クリーンで乾燥した大気とは言え、満月の全力光量では手元も暗い。俺のヘッドライトを貸してあげると、その光の多さに感動したようだった。すぐに車の準備も終える。古いヘッドライトだったのであげても良かったのだが、剣岳から滑落した時に装備していたものなので、戒めの為まだ自分でもっておくことにする。
車を走らせること数十分、この日最初のポイントにたどり着く。その名も「Sol de mañana」(朝日?)ずばりただの間欠泉で、地上の至る所からガスが吹き出したりお湯が飛び出したりしているだけの場所である。
そもそもまだ日が出ていないのでよく様子がわからないのだが、とにかく強烈な硫黄臭と轟音だけは物凄く印象的だった。自然の神秘である。
さらに車を走らせると、昇ってきた陽光が峰々を照らしていい感じ。
この辺の山はどれも5000m級で山体がとにかくデカい。加えて表面が銅やらマンガンやらクロムやらのレアメタル含有量が高いので、独特の赤みを見せていて面白い。遠近感の狂う抽象画を見ている様に感じる。
遠くの道なき道を突き進むランクルの砂埃が散見される。
温泉
そうこうしているうちに、次の見学スポット「温泉」にたどり着く。
ご覧のとおり日は出ているのだが強烈にガスっている。なんとなく神秘的な光景に見えるが、先に広がる湖はよく見ると結構硫黄分が溶け出してヤバそうな成分の水になっていた。
この手前に露天風呂温泉がある。午前だというのに既に入浴者でごった返していた。水木は持っていたが、試しに手を入れてみると微妙にヌルかったし、混んでいたのでパスする。正直、特に後悔はしていない。ちなみに、有料。
快晴だと、眺めも最高だろう。寒いと思うが、夜に入れたら夜に入りたい。
ちなみに、結構大型の平屋建物が脇にあるので、意外と泊まったりも出来そう。
ドライバー達はこっちで身を清めていた。
そこら中に笑えるほどリャマがいる。
大地のパワーを感じる。
要所要所の見学スポットでは、このようにランクルがどんどん後ろから追いついてきて溜まっていく。ランクルが通り過ぎる度に物凄い砂埃を舞い上げて去っていく。
と次の瞬間!一台のランクルが急発進して猛烈な勢いで迫ってきた!!
これはタダ事ではないと急いでシャッターを切る。
ヤバイ!!なんだかドライバーが笑っている気がする!というランクルかっけぇ!
通り過ぎる瞬間、一瞬俺はドライバーではなく助手席の男とファインダー越しに目があった。彼の目は笑っていなかった。
かなり厳しい表情でこちらを見返す助手席の男。
一方、後部座席の人はピースサインをこちらに向け、有効の意を表していた。
晴れやかな気分になり、その場を後にした。
正午が近くなると、 かなり空が青くなっていった。
とにかく地層がすごい。この地層を見るだけでもここに来た価値があったと思うほど。
非常に独特な雰囲気がある。
ところどころに轍があるのだが、謎の陥没痕などもあって危険な地層であることには変わりないと感じる。実際、この辺で遭難したら死を覚悟する。
するとまた湖に連れて行かれる。今度は綺麗な水色も見える湖で、フラミンゴやら他の鳥も居る。鳥を見せられてどうということも無いのだが、明らかに不毛な大地の周辺の中でよくぞ行きていけるな、と素直に不思議でしょうが無い気分になる。自然すげえ。
このウユニ湖ツアー、やたらと湖を見せられるので覚悟しておこう。